デザイナーなんで買い叩かれても困るんですが、適正価格は大事です。前にやってたブログでも似たこと書いたんですが加筆修正。

  • 好きなことやってんだから〜とか
  • 簡単でいいんで〜とか
  • うまくいけば〜とかとか
  • これ難しいので〜とか
  • めっちゃ気合い入れたんで〜とか
  • 絶対売れると思うんで〜とかとか

クライアントもデザイナーもお互いに
数値化できない、感情・感覚値での値段交渉はアホです。
正直この手の事をいう人はクライアント・同業とわずなるべくお付き合いしたくないです。
もちろん感覚的なところをウリにしている商売でもあるので度外視はしませんが
ちゃんと納得出来る計算をすることでお互い納得出来る価格を出しましょう。
ということで、今回は日本だけではなく、
海外含め各地域・国・都市での適正価格の算出方法を考えてみます。

デザイナーの人は見積もりの参考に
発注者の方は価格が妥当かの判断材料に。
なお、下記計算は中間マージン/業者/代理店/紹介料などがない、クライアント:デザイナーが直接契約した場合を想定しています。また各種マージンは約50%前後は取らないと税金・事務処理etc回らなくなってしまうので、下記金額*1.5(1業者につき)くらいになるかと。

どれだけ働けばいくらなの

平均(または目標)年収/12(ヶ月)/20(営業日)/8(労働時間) = 時給 = 基本給

まず、WEB系では一般的のようですが
グラフィックだと曖昧になりやすい時給ベースで考えます。

次にデザイン/ライター業務など、頭脳労働なので”考えている時間”と、
打ち合わせ、メール、電話対応など”実作業以外の時間”。
見積もり作るために適正価格を探してこのページを見ている時間など
諸事務処理にかかる時間を加算して最低適正価格を出します。

時給 x 1.2(事務作業時間) x 1.2(考えてる時間) = 最低適正価格

フォーマットへのはめ込みや、リサイズなど
スキルさえあれば出来る作業はこの価格が基準になります。

デザイナーの人はこの額だけは最低把握しておきましょう。
理由なくこの額より下にする必要もないし、
この額以下に設定することは
せっかくにセンスやスキルを身に付けたのに
自分の価値はない=素人同然と公言するのと同じです。

クライアントさんは最低でもこの額を保証してください。
逆に単純作業のはずなのに理由なく
この額よりも極端に高額なギャラを請求された場合は
ぼられているか、依頼先のミスチョイスです。
依頼先のミスチョイス。このことについては後で補足します。

最低適正価格より高い時

理由は

単純そうに見えて単純作業じゃない
(+20%)

そのまんまですがデータを引き継いだ際によく発生します。
前の作業者がめちゃくちゃな作り方をしている。
文字がコピペできなくなってるなど。

また、元データを請求された場合など、クライアントを縛るために、
わざと追加作業がしにくいよう、このような処理が施される場合があります。

そのデザイナーにしかできない作業
(+20~50%)

イラストや、ビジュアル制作、癖の強いレイアウトなど、
“こんな感じで”と参考を渡されてもなかなかスタイルをコピーできないものはその分ギャラに上乗せされます。

基本知識以上の専門知識が必要
(+30~50%)

モーションロゴ対応のロゴマークや、
Webと併用出来るチラシレイアウト、とか
2つ以上の分野をまたぐ作業が発生する場合、
このような上乗せが発生しやすいです。

スケジューリング・休日業務
(+50~200%)

これは”明日ください”とか”週明けにください(今日金曜…)”なんて時に
宅急便などでも納期が短いと割増料金設定が多いので馴染みがあるかと。

日本での平均デザイン費

まず日本の最低賃金の平均は780JPY/時間。
世帯平均収入(2012年)は5372,000JPY/年 = 2,797JPY/時間。
デザイナーの平均収入(2014年)は3820,000JPY/年 = 1,989JPY/時間。

コピペするだけとかバイトでもできる作業は780円だとして、普通にチラシ・DM・フライヤーなど1枚もののグラフィックを作る場合、作業時間は多少ムラがあるとしても修正2~3回程度なら1日(8h)あればできるとすると・・・

1,989JPY x 8(時間) x 1.2(注1) = 20,000JPY(注2)

注1 : フォーマットなどがなく、ビジュアル制作が必要として上記の”そのデザイナーにしか出来ない作業”の項を最低掛け率で足したものです。

注2 : 1,000円以下端数切り捨て。給与の参考 : デザイナー平均収入 / 世帯収入について

中国(上海)での平均デザイン費

業務内容は上記、日本の場合と同じとすると・・・
(2016年11/15現在1RMB=15.85JPYで換算)
最低月収10,000RMB/月 = 62RMB = 982JPY/時間。
平均(?)月収20,000RMB/月(注3) = 125RMB = 1,981JPY/時間。

125RMB x 8(時間) x 1.2 = 1,200RMB = 19,200JPY(注4)

注3 : 収入格差が日本以上に大きいのでデザイナーといえど、中国人でも4,000RMB~30,000RMBくらいまで開きがあります。そうした中で統計などない体感値ですが、日本人が不自由なく生活しようと思うと、という額です。

注4 : 記事制作当初 1RMB = 19JPY、2016年11月 1RMB =15JPY程度と為替の影響も大きいので見積もり製作者により20%前後の増減はあります。

オーストラリア(シドニー)での平均デザイン費

最低賃金16AUD/時間デザイナーの平均給与60,000/年 = 25AUD/時間。
現地企業でのフリーランスの時給目安40AUD/時間。

時給平均 : (25+45)/2 x 8(時間) x 1.2 = 312AUD = 25,562JP

ちょうど今日見かけたUIデザイナーの求人は、この倍の額でしたが・・・あくまで最低適正価格の基準までに。

そもそも、そのデザイナーに頼む必要ありますか?

意味もなくイギリス在住のデザイナーにお願いすれば最低賃金の都合で日本よりは高くなります。またネームバリューのあるデザイナーの場合、そこに商業価値が発生するため価格設定が高くなります。あと、この考え方自体嫌いですが日本在住の日本人と中国人、フィリピン人、アメリカ人、イタリア人。イタリア人のギャラは高くてフィリピン人は安いとか。。ある意味ネームバリューと同じブランディングの影響ですが…”どこ出身の人か”、”元◯◯社所属”とかの肩書等々でも変わってきます。あとよくあるのが”早くできるんだから安くして”って話。普通に考えて、アウトプットのクォリティが同等の場合

作業時間を短くできる=効率化して作業できる

ってことなので、効率化するノウハウには対価が発生します。よね?クォリティ下がってでも早く!とかだったら値段交渉可能でしょうけど、もともとそういった作業を受ける人・受けない人いるので、もし見積もり段階でミスマッチに気づけたようであれば、早急に人選変えてみましょう。人間関係壊れる前に。 *そこそこアクセスもありので、記事製作時と為替がかなりずれてきたので修正しました(2016/11/15付け)

 
 

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